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バックナンバー(第30巻)

水産物の栄養・機能性・おいしさを評価する


TANAKART









 田中 竜介 (海洋生物環境学科・教授)



 若い皆様に、「動物園」と「水族館」どちらが好きですか?と聞くと「水族館」と答える人が多い様です。一方、「肉」と「魚」おいしいのは?と聞くと「肉」と答える人がほとんどです。どうやら「魚」は見るのは好きだけど食べるのは・・・と言った感じでしょうか。
 魚類をはじめとした貝類・甲殻類・藻類などの水産物は栄養成分・機能性成分を多く含み、私達が生命活動を維持するための重要な食料の一つです。特に、魚肉は畜肉とならび重要なタンパク源であり、小魚を骨ごと食べるとカルシウムが摂取できることもご存じかと思います。また、EPA、DHA、アスタキサンチン、スクワレン、コラーゲン、ポリフェノール、キチン、キトサンなどの機能性成分はサプリメントとしても販売されています。
 さて、水産物には様々な栄養・機能成分が多く含まれていますが、これらはどの様な方法で調べるのでしょうか?水産物をはじめとした食品成分は様々な分析機器を使用して、その成分を確認して含量を測定します。その一つに高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography)通称HPLCと呼ばれる分析機器があり、この機器を構成するカラム、移動層、検出器の条件を検討することによって様々な化学成分を分析することが可能です。


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 私達の研究室ではHPLCを利用して、水産物に含まれる成分の分析方法の開発を行っています。そして、開発した方法を利用して、既存の水産物や新しく開発された水産食品の品質評価、未利用資源に含まれている有効成分の探索に役立てています。その一例について紹介します。

1. 海藻ステロール類の分析法の開発
 植物ステロールは様々な機能性を有するため注目されています。陸上の植物に含まれる植物ステロールに関する研究は進んでいますが、海洋の植物、すなわち海藻に含まれるステロール類に関する研究はあまり見あたりません。海藻に含まれるステロール類を分析するために、蛍光-HPLC法を利用した分析方法の開発を行いました。開発して方法を利用し、様々な海藻を分析した結果、海藻の種類によって含まれるステロールが異なることがわかりました。


2. 水産物の鮮度と旨味の同時分析法の開発
 水産物の鮮度指標としてATP分解物を指標としたK値があります。また、水産物の旨味成分としてヌクレオチドモノリン酸があります。これら、鮮度と旨味成分を分析する際は別々の方法で行っていますが、一回の分析で同時に分析する方法を開発しました。


3.  海で育んだ巨大ヤマメの栄養評価
 のうがく図鑑 第17巻 「海で育んだ巨大ヤマメ」で紹介された、巨大ヤマメの栄養成分について、私達の研究室で開発した分析法を利用し栄養成分を評価しました。淡水ヤマメと海水飼育ヤマメ(巨大ヤマメ)を比較したところ、体長・体重が大きくなるだけではなく、脂質含量、ビタミンE、アミノ酸、カロテノイドなどの栄養成分も増加することがわかりました。


 水産物に含まれる様々な成分の分析方法について紹介しましたが、これらを通じて、水産物の食品としての魅力を知っていただけたと思います。これからは、水族館で泳ぐ魚を見た時は「おいしそう」「栄養がたっぷりだな~」と感じても良いのではないでしょうか?





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