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宮崎大学農学部応用生物科学科は、今世紀において地球規模で人類が直面すると予測される生命・食料・環境問題に応えるために創設された学科です。

TEL. 0985-58-3834 (教務・学生支援係)

〒889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1

吉田ナオト (Naoto YOSHIDA)
e-mail: a04109u(-AT-)cc.miyazaki-u.ac.jp
※(-AT-)を@に直して送信してください
所属
宮崎大学 農学部 応用生物科学科 微生物機能開発学領域
職名
教授
担当授業科目
基礎微生物学(1年次)
生命化学概論(1年次)       
化学英語II(3年次)       
微生物機能開発学(3年次)
微生物学実験(2年次)
生物工学実験(3年次)
生物機能科学実験(3年次)
微生物機能開発学特論(農学研究科)      
研究分野
生物工学・環境微生物学・微生物遺伝学       
研究テーマ
微細針状材料と細菌間の相互作用およびその応用       
藻類の窒素源取込み機構とその機能を活用した窒素除去技術に関する研究
好熱嫌気性細菌によるバイオマスからの有機酸変換に関する研究
下水汚泥の迅速コンポスト化に関する基盤技術開発
研究内容
微細針状材料と細菌間の相互作用およびその応用
クリソタイルは天然に産出する水和フィロケイ酸塩粘土鉱物で、針状の結晶として成長する。多くの工業製品に利用されていが、人が長期間にわたって吸入するような機会に遭遇した場合、健康影響が懸念されている。しかしながらクリソタイルは化学的には不活性でもあり、細胞にどのような影響を与えるのか未だ不明な点が多い。本研究ではクリソタイルと細胞との間にどのような相互作用があるのか、細菌細胞を用いて明らかにし、さまざまな新知見を得た。
 溶液中で大腸菌とクリソタイルを混合するのみでは、クリソタイルは大腸菌の生育になんら影響を及ぼさない。ところがハイドロゲル上にて曝露させると大腸菌とクリソタイルに物理的変化が生じることがわかった。寒天やジェラン等のハイドロゲル上にてクリソタイルと共に曝露させる方法を考案し、曝露装置を開発して実験に供したところ、曝露時間が長くなるに従って生細胞は漸次減少した。また細胞内酵素の溶出も確認された。曝露初期ではストリークバーと寒天表面に生じる滑り摩擦力は小さいが、水分が寒天中へ浸透していくにしたがって、しだいに増大するいう物理的変化を与えたことになる(弾性体曝露)。曝露後の大腸菌を電子顕微鏡にて観察すると、クリソタイルがミサイルのように細胞膜に突き刺ささっている様子が捕えらえた。これらの実験結果は細菌細胞をハイドロゲル上にて曝露させることのみにおいて、クリソタイルが細菌細胞に突き刺さり、破裂に導くことを意味する。本実験条件においてクリソタイルは細菌に対しては変異原となるのではなく、ミサイルのように穿つというような物理的で性急な反応をもたらすものと結論づけた。クリソタイルはコロイド溶液中では6-9μm の凝集体あるいは、さらに細かい針状結晶として浮遊している。曝露の過程では、曝露時間に伴って水分が寒天中に浸透していくので、クリソタイルの濃度が寒天表面では上昇する環境が生まれる。この過程でクリソタイルは自己凝集し、栗のいが状になることが判明した(いがぐり状化凝集)。その時にすべり摩擦力が同時に加えられる。まるで細菌を付着した、いがぐりが転がっていくのか滑っていくような物理現象であると考えられる。
 本原理の応用として破裂に至る中間体を利用すれば、遺伝子等有用物質導入の可能性があると考えた。クリソタイルにプラスミドを付着させ、大腸菌をクリソタイルと共に弾性体曝露させたところ107/μg DNA の効率でプラスミドを取り込んで、抗生物質耐性に形質転換することを見い出した。クリソタイルを介した遺伝子導入法はコンピテントセルの調製を必要としないので、簡便な(物理的)形質転換法であり、有益な技術を確立させた。さらに本原理からプラスミドによる大腸菌の形質転換機構を利用することによりこれまで困難であった砂礫中のアスベスト測定法を確立させることができた。
 これら一連の研究において、すべり摩擦力を利用した生物工学の概念を創出し、摩擦生物工学 (Tribosbiotechnology) として新たな研究分野を切り開いた。
ハイドロゲル上にてクリソタイル(針状粘土鉱物)凝集体に大腸菌(青色蛍光タンパク質発現)は吸着する
Cover illustration: Transmission- (left) and scanning-electron-microscopy (right) photographs showing the penetration of chrysotile fibers into Escherichia coli cells under the sliding friction force. By using the fibers coated with DNAs, bacterial cells are expected to be efficiently transformed. For further details, readers are referred to the article entitled ” Chrysotile fibers penetrated E. coli cell membrane and cause cell bursting by sliding friction force on agar plates” by Yoshida, N. and Saeki, Y. on p.162-168, vol. 97 (2004)
2004年 Journal of Bioscience and Bioengineering のカバーをかざった。

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