平成29年度・卒業式

今年度は、農学部畜産草地科から学部-50名と修士課程-14名の学生がそれぞれの課程を修了し、宮崎大学を卒業しました。

宮崎観光ホテルで行われた当学科の卒業証書・学位記授与式では、それぞれの指導教員から全ての学生に証書が手渡されました。

教員一同、皆様の今後のご活躍を心から応援しています。

以下、卒業証書・学位記授与式における学科長祝辞です。

卒業・修了おめでとうございます。

また、担任を務められた、飛佐先生、井口先生、そして、畜産草地科学科の先生方、おめでとうございます。本日、このように、50名の卒業生と、農学国際を含め14名の修了生を社会の荒波に送り出すことができます。彼らはその荒波を華麗に乗り切ってくれるでしょう。あるいは、万一、荒波に飲み込まれても、泥臭く、這い上がってきてくれるでしょう。

私は卒業生の1年後輩です。宮崎大学に入れていただいた3年前、卒業生の皆さんに家畜栄養学の講義をさせていただきました。覚えているでしょうか、最初の講義で「ヒノノニトン」の話をしました。とんかつ屋に入ってきた堤真一がメニューにある三元豚を注文しようとしているところ、とんかつ屋のおやじのリリーフランキーが語っている、「ヒノノニトンが最近増えてきて、これから主流になる、おまけに安全だし」というのを聞いて、三元豚ではなく、「ヒノノニトンをください」というCMの話です。もちろんヒノノニトンというのは、日野自動車の二トントラックのことなのですが。講義の最後に、今日のクイズと題して、ヒノノニトンとは何ですかという問題を出しました。その中で秀逸な回答が「大阪の日野でつくられる2種類の系統を混ぜたブタの品種」でした。

さて、太った豚より痩せたソクラテスという言葉があります。J.S.ミルという哲学者が言った「満足な豚であるより、不満足な人間である方が良い。満足な愚者であるより、不満足なソクラテスである方が良い。」という言葉を短くしたもので、単に量的に満たされるだけではなく、質的な精神的な快楽がより重要だと説いているものだと思います。この言葉は1964年の東京大学の卒業式で、大河内総長が、卒業生に対して物欲ではなく精神面の重要性を訓示するために使用したことでも有名になりました。

ミルという哲学者は、量的に満たされている代表として豚を取り上げております。我々の学問は、その豚をいかに満足させ、それによって生産される肉で、人をいかに満足させるかというものであって、突き詰めると我々の学問はいかに豚が満足するかで、評価されます。

哲学者はおなか一杯食べる豚を、ある意味否定し、我々は、どのようにして豚を腹いっぱいにさせるか、一生懸命お勉強をしています。一つの事象を取り上げても、立場が変わるだけで、その解釈が大きく異なる場合が多々あります。社会に出ると、そのような、正解が一つだけではなく、無数にあるようなことにたくさん出くわすことでしょう。皆さんは卒論を書く過程で、緒言を書くことの難しさを学んだと思います。緒言では、まず著者の立場を明確にします。そのうえで、その研究を実施する目的を書いたでしょう。社会に出ると、自分の立場を見極めて、それに基づいた言動をとることが求められ、そうしないと、何をやっているかわからなくなることもあるでしょう。一方で、立場だけを意識しすぎると客観性を欠いた、偏った行動をしてしまうことにもなりかねません。現在の国会での混乱はそのような立場だけしか見ずに、客観性を失った人々が招いてしまったことともいえるでしょう。そのような時には痩せたソクラテスという概念が重要になると思います。

今後みなさんは多くの情報におぼれながら、上司からはプレッシャーを与えられつつ、何らかの結論を見出すことが求められると思います。つい、1-2か月ほど前、卒論を取りまとめる過程で、苦しみながら経験した、論理的にそして客観的に物事を考えるということを思い起こし、日々、精進してください。

そのような日々によって、心を擦り減らすこともあるかもしれません。今朝の宮崎日日新聞の記事で、宮崎のうどんを「基本は柔らか、わかりにくいが芯もある」と称していました。うどんに限らず、宮崎の人々や風土をも物語っているようにも思われます。我々が元気な時には、ちょっと物足らないかもしれませんが、疲れたり、病んでいるときにはとても癒してくれます。そういう宮崎ですので、時々、帰ってきて、癒されてください。

最後になりますが、「痩せたソクラテスでありながら、豚をしっかり満足させうる社会人になってください。」という言葉をみなさんへのはなむけとさせてください。

卒業と修了、本当におめでとうございます。

 

平成30年3月23日

宮崎大学農学部畜産草地科学科

学科長 川島知之

投稿日:2018.03.30